キレイゴトとホンネと

君のために生きようか 惚れたもんだから仕方ない

ガチ恋とコンサートと私

私は大倉忠義さんが好きだ。

どう好きって、もう、それはもう、本当に好きだ。(是非、BGMはaikoちゃんのAkaかビードロの夜でお願いします。)


大倉くんに完全に落ちるまで、ジャニーズという文化への関心は無に等しくテレビもほとんど見なかった私は、ジャニヲタがなにかもよく分からないまま大倉くんに恋に落ちた。

言葉通りに「恋に落ちた」


無知ほどこわいものはない、と思う。
それまで本当に興味がなかったせいで、自分の感覚が基準であり普通だと当たり前に感じていた。好きだから付き合いたいし、付き合いたいから「担当」だった。みんなそうだと思っていた。


初めは、突然に好きが増えすぎて、こんなにも好きなのに付き合えないどころか向こうが私の存在を知らないことがつらくて仕方がなかった。厚かましい話である。
そして考えた逃避方法が、「大倉くんは2次元説」。
2次元だから誰も会えないし、触れないし、だから付き合えないのは当たり前、と、マンガのキャラに恋する気持ちと同じように心を落ち着かせていた。
コンサートに行ったら大倉くんが実在しているとこの目で確認し、認めてしまうことになる。それが怖くて仕方がなくて、チケットを手に入れようともしなかった。ジャニヲタだと明言している人たちはどうしてあんなに楽しそうにコンサートに行けるのか、心底不思議だった。むしろ、コンサートに行っている人はみんな重度のジャニヲタではなく普通にファンなだけなのかと、見当違いなことを思った時もあった。
この頃の私の口癖は「なんでコンサート行きたいと思うん?つらくない?」だった。
レポでファンサの情報が流れてくると夜な夜な泣いていたことも覚えている。実在しないはずやのに。2次元やのに。


しかしこの「ジャニヲタは全員担当と付き合いたいと思っている」という思い込みを抱えたままTwitterで増えたお友達や、地元の先輩ヲタ友達と話せば話すほど、やはり少しずつ話が噛み合わなくなっていく。
「ジャニヲタやのに彼氏おるってどういうことやと思う……?」「え、この人自担が世界一って言ってたのに結婚してるなんで……?」と非ヲタの友達に相談して、「そらそうや、あんたがおかしい」と返され、
私おかしくないよみんな担当が大好きって言ってたのに!嘘やったん!?!と不貞腐れたこともある。

そしてみんな何かがおかしいと思いながらも色んな人の話を聞いていくうちに、やっと、やっと「付き合いたいなんて不純な気持ちだけで担当をしてる人の方が珍しい」と気付くことができた。長かった、長い道のりだった。


それと同じころに、私は大倉くんが実在するという事実を認めざるを得ない出来事に直面する。
「同じ世界に生きてるみたいやわ大倉くん……………………(涙ぽろぽろ)」状態が2日ほど続いた私は、今度はファンだと認知されるのがとてつもなく怖くなる。第2ステージ突入である。

2次元の人だから、と思っていたところから3次元の人だと認識を改めたところで、浮かんでくる「同じ時代に生きてるから確率はゼロじゃない説」。
0が0.001程度になっただけの話だと思われるだろうが、私にとってはゼロじゃないだけで大きかった。可能性が無限に広がった気がしていた。

まず出会わないといけないとか、外見で興味を持ってもらえるくらい可愛くないといけないとか、確率を上げるためにクリアしなければいけない課題はたくさんあった。しかしそれよりも、「これ以上確率を下げない」ことは実行しやすかった。それが、ファンだと認知されないことだ。なにもしなければいいだけである。

ファンだと認知されると、連絡先を教えてもらえる可能性が下がるとか、好きなんです!!!と告白しても『いつも応援ありがとう』と言われて終わるとか、そういうことが怖くなり、余計にコンサートに行きたいと思えなくなった。
近くの席だと顔を覚えられるかもしれない。こんなに近い距離に彼はいるのに付き合ってはくれない。遠くの席だと、同じ世界に生きているのにこんなに遠くでしか見ることも許されない。つらい。こわい。コンサートこわい。

偶然恐ろしくいい席が当たってちょっと1回入ったくらいじゃ認知なんかされへんわ、って、思う、今ならそう思う。でも、この時の私は突然「大倉くんのことが死ぬほどすきだから彼女になりたい」と強く願いすぎるようになった、アイドルのコンサートなんて行ったことのない無知な女だった。
ファンじゃないただの女の子として大倉くんに出会うことができたら、本当に本当に頑張れば、なくはないと暗示をかけていた。
この頃の口癖は「可愛くなって大倉くんと出会いたい」だった。



第3ステージに突入したきっかけはロンドンハーツの企画だった。

阿佐ヶ谷姉妹のどちらかが、告白してはそのたび「本当に付き合うとかは無理」と振られて7年になる先輩芸人さんと最後のデートをするというもの。
気持ちを伝えるもやっぱり受け入れてはもらえず、それを「まあ、なあ……無理なもんは無理やんなあ……」と思った瞬間我に返った。

いや私もこれやんか

こんなに長いことずっとあなたを思っていました、って言ったって
こんなにもあなたが好きです、って言ったって
私がどんなに性格のいいおもしろい女の子であったとしても、一歩引いたところから見て釣り合っていないんだって、突然上から水を浴びせられたような気持ちになった。
現実を見せられた気持ちだった。気付いてよかった。


私は本当にどこにでもいる普通の女子大生だ。人並みに人付き合いをして、人並みに勉強も運動もして、人並みに恋だってした。スタイルも顔も、本当に人並みな女なのだ。学年1可愛い女の子の座どころか、クラス1可愛い女の子にもなれない程度だった。文集で名前が載るのは、感受性が豊かな人No.1とか、よく笑ってる人No.1とか、そういうことでしかなかった。

それに比べ大倉くんは、ジャニーズ事務所に所属するアイドルだ。スタイルがよくて、顔が整っていて、生まれも育ちもよくて、楽器も歌もダンスもできて、ひどく母性本能をくすぐってくる彼と付き合いたいと思う女の子は、世界中に何百人いるんだろう。

だけど、釣り合っていないと分かったところで無理だった。第2ステージ期に、可能性なくはないよ!!と思いこみすぎて分からなくなっていたが、私は大倉くんと付き合えそうだから付き合いたいのではなくて、好きだから付き合いたいというシンプルな感情だったことに気付く。余計に厄介だった。

付き合えないことは理解したが、大倉くんと付き合いたい気持ちに変わりはなかった。
というより、やっぱり人並みに彼氏がほしい気持ちはあるせいで、大倉くんより好きな人ができないから結局は大倉くんと付き合いたい……に戻るのだ。


しかし今ではそれも、(過去の記事に書いたが)本来のジャニヲタとしての楽しさを見つけ出したことによってだいぶ落ち着いてきている。付き合いたいとは思わなくても、追いかけたいと思う人を他のグループで見つけたことが大きかった。そのグループのコンサートはすごく行きたいと思っていた。
このままなんも考えんと冬コン行ってみるのもありちゃう?
そう思い始めている自分もいた。申し込んだ。12月18日の東京公演が当たった(トントン拍子)


こうして私は、ガチ恋という重い心の障害を患ったまま、人生初の関ジャニ∞のコンサートに参加することが決定した。それが明日に迫っている。関西に住んでいる私は、今日これから、東京に旅立つのだ。自意識過剰すぎ、考えすぎ、と宥められていたあの頃が既に懐かしい。もしかしたら私はもう、ガチ恋ではないのかもしれない。こうやってコンサートを楽しみにできているのも、きっとそういうことなのだ。
コンサート行くの怖い…………なんて泣いていた夜を越えて、今あなたに会いに行くよ好きな人には好きって伝えるんだ~~
行ってきます!!




なんて明るい気持ちで締められる予定だった。この記事を書こうと思った当初は、本当にこう思っていた。過去形である。やはり私はガチ恋のままだったのだ。なにが再び私を惑わせたのか。

12/2のFNS歌謡祭である。眩しすぎた。恐ろしかった。テレビ越しでもそのかっこよさにぶっ倒れるかと思った。楽しそうに笑っている姿を見ていると涙が出てきた。本当に心からこの人のことが好きだと思った。大倉くんと付き合えない人生なのに女として生きているなんて……おっぱいの無駄遣いやから神様に返す……無理好きすぎ大倉くんと付き合いたい……


その後遺症が少し残ったまま、私は今、東京へ向かうバスに乗っている。
大倉くんのことが本気で好きだけど付き合うのが難しいことは分かっている。しかし先にも書いた通り、大倉くんより好きな人がどうにもできそうにない。身近な男の人をすぐに大倉くんと比べてしまうこれを恋と呼ばずになんと呼ぼう。

明日、あんなに魅力が溢れた人がドラムを叩く姿を直接この目で見てしまったら、話す声を歌う声を直接この耳で聞いてしまったら、同じ世界で生きているのにどうしたって遠い存在のアイドルだと肌で感じてしまったら、また私はひねくれた厄介な感情に支配されてしまうかもしれない。それだけが少し怖い。

コンサート自体はきっと間違いなく楽しいから、

目の前に広がる今だけの世界
泣いてしまうなんて 勿体ない

これを胸に刻んで、笑顔で「最高に幸せやった!」と叫べることを願って今度こそ、
行ってきます!