「aikoで白い道、堂本剛さんでどうぞ」
(※注)堂本剛さんって死ぬほど沼じゃない!?!?って今更気付いて思わず書き殴ったただの妄想です各方面にごめんなさい。
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「私のこと、好き?」
『……好きやで』
剛くんはいつもそうだ。私の問いかけに、少し困ったように笑いながらこう応える。
「ほんとうに?」
めんどくさい女だと自覚しながらもつい重ねて訊いてしまうのは、これがキスの合図だから。私を説得するように、もしくは自分を納得させるように、大切に大切にキスをする。
「これじゃ誤魔化されないよ」って言ってやりたい気持ちは、「言ったら終わってしまうかも」の気持ちにいつも負かされる。そんな葛藤をきっと剛くんは知らない。
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好きになるつもりなんてなかった。
それなのに、どこか遠くを見ながら小さく笑うその儚さに触れたとき、ああダメだと思った。
私の方がずっと歳下なのに、「まもりたい」と思ってしまった。
好きだと伝えた私に、じっと何かを考えたあと剛くんは
『いいよ』
って頷いた。
『君と僕は似てる』
の言葉の本当の意味を理解したのは、偶然あの人に会ったときだった。
「綺麗な人だったね」
『うん、そうやろ』
「もっと話さなくてよかったの?」
『んー?幸せそうなん分かったし、十分やわ』
私が落ちた「儚さ」が濃くなった瞬間だった。
剛くんは口癖のように、「幸せにする」って私に言う。本当に大切にされていると思う。それでも、奥底にいるのは私じゃない。
どうしてもあの人が好きなのに、応えてくれなかったんでしょう。
剛くんの他の人を想う目を見て恋に落ちた私に、自分を重ねたんでしょう。
嘘でもいいから好きって言って、そばにいてくれるだけで幸せなのにって、思ってたんでしょう。
「私のこと好き?」
『……好きやで』
そうして降ってくるキスに、今日も誤魔化されたフリをする。
別れたあの日まで、好きだって言うとき、キスをするとき、剛くんと目が合ったことなんて1度もなかった。